GitHub Actionsを使って、pull request を中心とした開発におけるちょっとした自動化ができないかと探っている。
人の出入りが多い、あるいはたまにしか触らない人が多いようなリポジトリにおいては、開発ワークフローのようなものを丁寧にドキュメント化したとしても、読み込んで守ってもらうのは難しいと思っている。
自然に開発を進めていくだけで次のアクションを示してくれる、もしくは強制させられる、という方が効果があるだろう。
そのような考えのもと、pull request が approve されてマージできる状態になったというタイミングで GitHub Actions を使ってコメントをすることを試してみた。
このコメントで、マージする前もしくはマージした後にやってほしいことを知らせることができる。
以下のように、approve されると bot がコメントを返すイメージ。
マージできるようになったタイミングでコメントする、というのが本当にやりたいことではあるが、それをやるにはどのような方法があるか?
以下の方法があると考えた。
いずれもプルリクエストのマージ可能性を定義で説明されている保護ブランチに対しての制御がある状況を想定している。
チームで開発している場合において、より厳格なルールを設定していくとしたら approve に加えて status check を有効にすると思われるので、2. が実現できた方が良いとは思った。
しかし、Events that trigger workflowsを見てもそれらしいものが見当たらない。
1.の approve については、Feature Request |trigger action on “Pull Request Approved”を見つけ、pull_request_reviewで実現できそうだったので試してみた。
ちなみに approved-event-action という action はすでに存在するのだが、v1.2.1 では以下のようなエラーが出てしまい動作しなかった。
Error: Unable to process command '::set-env name=APPROVED,::true' successfully.
Error: The `set-env` command is disabled. Please upgrade to using Environment Files or opt into unsecure command execution by setting the `ACTIONS_ALLOW_UNSECURE_COMMANDS` environment variable to `true`. For more information see: https://github.blog/changelog/2020-10-01-github-actions-deprecating-set-env-and-add-path-commands/
検証のためにGitHub のプロジェクト root に CODEOWNERS を設定するの方法で誰かがpull requestを作り、自分がapproveできるという状態を作る。
これを使って、issue を open することで pull request を生成し、それを approve して action を実行させる。
結果だけほしい人はこれは必要ないが、一人であれこれ試したい場合には有用。
これが一番重要だが、 approved は以下のように pull_request_review
の submitted
タイプを拾って state
をチェックすると処理することができる。
on:
pull_request_review:
types: [submitted]
jobs:
check-state:
if: github.event.review.state == 'approved'
この条件を満たさない場合、例えば comment として review を submit した場合は job は skipped となり何も実行されない。
複数のレビューアが approve することはある得るし、一人のレビューアであってもレビューは何度でも登録できるので、上記の条件だけでは同じイベントが繰り返し発生し得る。
その度にコメントするのを避けたければ、既存のコメントを探してから登録または更新するのが良い。
それには peter-evans/find-comment の action が使える。
これを使って、GitHub Actions bot からの特定の形式のコメントがあればコメント済みとみなしてそのコメントの更新を試み、そうでなければ新規にコメントするようにする。
- name: Find last comment
id: find-last-comment
uses: peter-evans/find-comment@v1
with:
issue-number: ${{github.event.pull_request.number}}
comment-author: 'github-actions[bot]'
body-includes: 'Change for master is approved!!'
この workflow によるコメントであることを示す明確なタグなどが設定できればよいのだが、残念ながらコメント本文に何が含まれるか、という程度でしか識別はできなさそう。
こういった制御は特定の保護ブランチへの pull request のみを対象にしたいだろうが、その場合は on.pull_request_review.branches
は使えない。
例えば master
ブランチへの pull request が approve された場合の action を実装したい場合には以下のように書いてしまいそうだが、これは動作しない。
on:
pull_request_review:
types: [submitted]
branches: ['master']
なぜなら、この action を動作させる対象は master
ブランチではなく、それを base branch とする pull request 側のブランチだから。
(当然ではあるが、直感的に間違ってしまいやすそう。)
対象の base ブランチを制限したい場合は、github context で pull_request イベントの内容を取得してブランチをチェックするようにする。
jobs:
check-state:
if: github.event.review.state == 'approved' && github.event.pull_request.base.ref == 'master'
この条件が複雑になる場合は step を分けてもいいかもしれない。
コメントが見つからなかった場合にのみコメントする。
コメントには peter-evans/create-or-update-comment を使う。
- name: Comment
if: steps.find-last-comment.outputs.comment-id == ''
uses: peter-evans/create-or-update-comment@v1
with:
issue-number: ${{github.event.pull_request.number}}
body: "Change for master is approved!! Merge it carefully."
最終的な workflow は以下の通り。
name: Respond to approved
on:
pull_request_review:
types: [submitted]
jobs:
check-state:
if: github.event.review.state == 'approved' && github.event.pull_request.base.ref == 'master'
runs-on: ubuntu-latest
steps:
- name: Find last comment
id: find-last-comment
uses: peter-evans/find-comment@v1
with:
issue-number: ${{github.event.pull_request.number}}
comment-author: 'github-actions[bot]'
body-includes: 'Change for master is approved!!'
- name: Comment
if: steps.find-last-comment.outputs.comment-id == ''
uses: peter-evans/create-or-update-comment@v1
with:
issue-number: ${{github.event.pull_request.number}}
body: "Change for master is approved!! Merge it carefully."